ゆく川の流れは絶えずして

洛北の地より日々の徒然を記します

薔薇の季節

今年も家の庭に薔薇が咲き始めました。小さな花びらが、やさしく鮮やかな色で私の目に飛び込んできます。特に、ロサ・ガリカの赤い薔薇が、五月の庭を彩ってくれています。

私の庭に咲くロサ・ガリカは、他の薔薇と比べて花びらが少ないですが、その分、一つ一つの花びらの色と形が際立ちます。

そして、その香り...ああ、言葉では表現できないほど芳醇で、心を癒します。

 

いまの季節は特別です。

春から初夏へと移り変わる頃。まだ湿度が低いため肌寒さが残る朝、窓を開けるとそこには新鮮な空気と共に、庭から漂う薔薇の香りが部屋中に広がります。

それはまるで、自然からの贈り物のよう。

 

私がロサ・ガリカを庭に植えたのは数十年前。

その頃はまだ、この家に家族全員で住んでいました。

子供が巣立ち、私と夫だけになった今でも、この薔薇は私たちの日々を見守り続けています。

年月が経つにつれ、家族の形は変わっても、薔薇の存在は私たちの生活に安定感を与えてくれます。

 

新緑が眩しいこの季節、庭を見渡すとロサ・ガリカが目立ちます。

その赤い花びらが、まるで生命の躍動を示しているかのよう。

薔薇が咲く庭は、時間が止まったような静寂さを持ちながらも、決して静止していないことを教えてくれます。